いよいよプログラム紹介も最後の曲となりました。
第3部です!
第2回祭のメインはアーノルド作曲の
「第六の幸福をもたらす宿」
です。
昨年キャッスルはアーノルド作曲の
「序曲ピータールー」
を取り上げました。
今回演奏する六宿はピータールーとはまた違ったアーノルドの良さが出ている作品であります。
六宿は
「第1楽章ロンドンプレリュード」
「第2楽章ロマンティック・インタリュード」
「第3楽章ハッピーエンディング〜山々を越えて〜子供たち」
の三つの楽章から成っている楽曲です。
きりがないので簡単に紹介すると
第1楽章ロンドン・プレリュードは、映画主人公グラディスがロンドンのヴィクトリア駅に到着する場面の音楽をほぼそのまま切り取っています。
鐘の音と蒸気機関車の音が模された短い序奏にかぶさるようにホルンによって高らかに旋律が吹き鳴らされいます。
この旋律はグラディスの
「決心」
を表す主題です。
機関車が走り出すような短いブリッジを経て弦楽器によって奏されるロマンティックで叙情的な旋律は
「愛」
を表す主題です。
この二つの旋律が全曲に表れライトモティーフ的役割を果たします。
第2楽章ロマンティック・インタリュードは、グラディスと中国軍将校リン・ナンとの次第に惹かれあう関係を描くゆっくりとした間奏曲です。
タイトル通りのロマンティックな曲でフルートのソロから始まり中国音楽風のチェロのソロが続きます。
そしてホルンのソロが
「決心の主題」
を静かに奏し、弦楽器、オーボエが
「愛の主題」
を紡いでいく静かな曲です。
第3楽章ハッピーエンディング〜山々を越えて〜子供たち
西安を目指して山道を進むグラディス一行と立ちはだかる困難、子供たちの歌からエンディングまで映画の後半を凝縮したような楽章です。
重々しい行進のリズムにのって
「決心の主題」
の再現がホルンによって奏でられますが、楽器が移るたびに不安の影をおびたり激しくなったり大きな波を音で表現します。
このシーンを効果的にするのが登場する
「ウィンドマシーン」
です!
一段落して静まると小太鼓のリズムの導きで行進曲となりピッコロ・ソロによりイギリスの童謡
「This Old Man」
春先にキャッスルでちょっぴり流行った
「ちっこいおっさんの歌」
が始まります。
この童謡は楽器を変えて繰り返されて力強さを増し途中から対旋律として
「決心の主題」
が表れさらに力強くなっていきます。
その後
「愛の主題」
がドラマティックに奏され堂々としたエンディングを迎えます。
六宿はこんなドラマティックな曲なのです!
六宿の名演は沢山ありますが、私が好きなのは8年前に演奏された
「秋山和慶指揮」
「演奏大阪市音楽団」
の定期演奏会での六宿が好きですね!
ライヴで聴きましたが、
「各声部の音の出し入れが素晴らしかった」
ことや
「ゆったりと落ち着いたテンポ設定」
が聴いている側に非常に心地よかったです。
さすがっ
「プロの演奏!」
と感動したことが鮮明に脳裏に焼きついています!
マルコム・アーノルドは1921年ロンドン生まれの作曲家であり、作品は交響曲、序曲など管弦楽曲を中心としていますが多数の映画音楽も作曲しているイギリスの国民的作曲家です。
主要な作品として前述の
「序曲ピータールー」
「九つの交響曲」
「序曲タムオシャンター」
「バレエ音楽女王への忠誠」
「映画音楽戦場にかける橋」
などが有名です。
我々が演奏する六宿のタイトル
「第六の幸福」
とは中国の概念である
「五福」
が含まれています
五福とは
「着物のことである」
…さぶっ。
やり直して。
五福とは
「①長寿、②富、③健康、④徳、⑤悔いなき末期」
であります。
五福に加えて
「第六番目の福」
を
「それぞれが見つける」
という意味合いで劇中の宿につけられた名前です。
映画では主人公にとっての
「第六の幸福」
について明確に語っていません。
ちなみに
「五福」
に対立する概念として
「六極」
があります。
六極とは
「①短命で不幸な死、②病、③悩み、④貧乏、⑤悪い容姿、⑥薄弱な意思」
であります。
六極を冷静に見ると
「非常に人間臭い」
感じがしますよね(笑)
悪い話はさておき、それぞれの
「第六番目の福」
とは?
キャッスルにとっての六福は
「強い心」
「信念」
だけでなく
「バンド愛」
「ホーム」
のような
「己の意識」
だと私は考えます。
長々と書き綴りましたがキャッスル
「第2章(2年目)」
のエンディングを括るメイン曲。
「第六の幸福をもたらす宿」
熱く、熱く想いを込めて演奏します♪
※〜キャッスルウインドアンサンブル定期演奏会・第2回祭まで残りあと2日