キャッスルウインドアンサンブル。
今年のコンクール自由曲
「大阪俗謡による幻想曲」
この名曲を取り上げます。
大阪の祭囃子を受け継ぎながら生まれた俗謡(大衆音楽)。
この曲を掘り下げて考察すべくシリーズとして取り上げます!
【その1~天神祭について】
http://blog.castle-wind.com/g_director/archives/4693.html
【その2~楽曲解説・作曲者コメント】
6月の時点でメンバーには合奏において楽曲解説やアナリーゼについて伝達しました。
今日はその振り返りも兼ねて。
来週のコンクール本番で演奏するにあたり、再度
「楽曲解説」
についておさらいしたいと思います。
【大阪俗謡による幻想曲】
・管弦楽版は、1956年6月21日、関西交響楽団(現大阪フィルハーモニー交響楽団)常任指揮者朝比奈隆のもとにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会への出演が正式決定した後、プログラムに大阪を紹介する曲を演奏する運びとなった。ベルリンでの演奏を想定して作曲され、渡米前の同年5月28日神戸新聞会館(1995年阪神淡路大震災により閉館)で初演されヨーロッパ遠征ではベルリンだけでなく、同年6月6日ウイーンでも演奏された。
・大栗裕(1918-1982)の管弦楽作品「大阪俗謡による幻想曲」は、1956年6月28日ベルリン・フィルなど海外での演奏に用いられた「1956年草稿」そして「1970年稿」と云われる草稿から新たに手を加えた第2稿が存在している。また、第2稿に「序奏」を加えた「第3稿」の初演は1970年7月20関西交響楽団(現大阪フィルハーモニー交響楽団)が大阪万博(日本万国博覧会)の一環として大阪フェスティバルホールで開催された「万博クラッシックコンサート」公演として初演し、その後は様々な公演で取り上げられ現在に至る。
・吹奏楽版初演は1974年5月30日、大阪市音楽団(現OsakaShionWindOrchestra)第28回定期演奏会にて作曲者により吹奏楽版として編曲「吹奏楽のための大阪俗謡による幻想曲」として発表された。
・大阪俗謡は、大阪三大祭りのうち「天神祭」「生國魂神」など大阪に住む人々の身近にある大衆音楽をモチーフとした楽曲である。
・大栗作品の特徴としては「うだるような大阪らしさ」をかきたてる「渾々と濁った響きの質感にこだわった楽器法」「大阪やその周辺で伝えられ、親しまれてきた民謡」等の活用が特徴である。この作品では「大阪の人なら誰もが知っている夏祭の囃子」が街を練り歩くように作中を埋め、ペンタトニックを縦に重ねた目の詰まった響きが続く。ここで引用されているのが、大阪市街北部の大阪天満宮「天神祭」の地車囃子と、南部上町台地の生國魂神社「夏祭り」の獅子舞囃子である。
【作曲者「大栗裕」による楽曲解説】
・大阪俗謡(これは大阪の人なら誰もが知っている夏祭の囃子であるが)を主題にした作品を書きながら、私は漸くにして日本音楽の作曲技法に関する種々の問題がやや明確な形となって私の頭に現われ始めた。人は「五音々階」の単純さを云々するけれども、我々が現在残されている数知れない沢山の民謡やその他の音楽を少しでも興味を持って見るならば、そこには西洋の十二音音階に劣らない美的感覚と論理的必然性を発見するだろう。例えば日本の音階における転調法の巧妙さ、それは私の曲で第三主題となって現れる僅か十二小節の旋律に過ぎないがその間に三度も調を転換するのみならず旋法までが変化する。(1956年)
・(大阪の祭囃子を)正確に採譜して再現したのではなく、私の少年時代の思い出につながり、私の耳に今でも非常にはっきりした音でこびりついているものを使った(1977年)
・大阪の7月はうだるような暑さの中、今も各地に地車や枕太鼓が出る夏祭りの季節である(1977年)
・私の氏神であった生國魂神社の子供たちの獅子舞の音楽をモチーフにした(1977年)
(解説以上)
曲を造形深く理解することが
「共通イメージを持った統一された演奏への近道」
そう考えています。
大阪の夏祭り。
キャッスルウインドアンサンブルによる
「大阪俗謡による幻想曲」
心を込めて演奏したいと思います!